いわちゃん

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- 2年目 -


「あの日から、一年か…」

一人の青年が、帰ってきた。アイドルの階段を駆け上がった少女に背を向け、愛する姉と
添い遂げる覚悟をした彼は、男を上げる為に武者修行の旅に出ていた。
それは全て、彼と姉の両親に二人の関係を認めさせる為にどうしても必要な行為だった。
が、これは予定された里帰りではない。本来なら彼はあと1年、修行を行うはずだった。
愛する姉と連絡がつかなくなったのだ。彼が作り出した弱小HPも404エラーとなり
姉の経営するカフェには一身上の都合による長期休暇の旨が記された紙が一枚。
姉の足取りを追った結果、彼は帰路につくこととなった。彼の生まれ故郷へと。
これは、彼の両親が二人の関係に気づき、先手を打った結果なのか。数多浮かぶ考えを
胸に秘めたまま、彼が実家の門をくぐった時、予想だにしない現実が彼を襲った。

「おかえりなさい。肉親なら、私にもまだチャンスがあるよね、お兄ちゃん」

彼をお兄ちゃんと呼ぶ女。それは、彼と袂を分けアイドルとなった少女の姿だった。
一体何故、赤の他人だった少女が義妹となっているのか。姉はどこへ居るのか。
錯綜する疑惑の中で、彼の新たな1年がスタートした。


- 1年目 -


NGSKの地で特筆するような事なく平和に過ごす。
そのまま就職し、約三年間、NGSKで働くがやりたいことも言えないこんな世の中じゃ状態になり、2015年上京。
飛行機の中で知り合った女の子と仲良くなるが、連絡先を交換するのを忘れてしまう。
だが、不思議と近いうちに会えるような気がしていた。
上京後の滞在先として幼い頃にとある理由で疎遠となった、姉のように慕っていた女性を頼りに訪ねる。
彼女は夢であった小さなカフェをオープンさせていたが、経営の悪化と土地開発の為の地上げに悩まされる日々を送っていた。
少しでも彼女の力になれればといわちゃんはカフェの再建に乗り出す。

「これからの時代はアイドルだ!!」

声高に叫ぶいわちゃんを見て、姉は頭を抱えるが熱心な説得により彼を信じることを決意。
予算に余裕が無い為、雇うのは一人と決める。
家電量販店で購入した激安のノートPCでHPを作り、そのPCをサーバーにして無料Wifiを発信しているお店にこっそりと
設置し、募集を募る。
奇跡的に一名の募集があり、後日面談の予定を立て、いざ当日。

「あれ、あなたは…」

飛行機で出会った少女との偶然の再開が、彼の運命を大きく変え始める。
君は、この運命に抗うことが出来るか…


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